子供のガラクタ、おまけのおもちゃ。
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ミニマルライフ
いつものように日傘を右手に、図書館へ向かう。
図書館の場所はすぐ近く、でもなく、ちょっと遠出、でもない。行くのが億劫になるほどではないけれど、こんな天気の日に返却に行けば必ずや汗ばむだろう、そんな距離感。
トレーニング嫌いの運動不足の身には、ちょうどいい朝の散歩コースであります。
日傘があっても日陰を選んで歩いてしまうのが人の性。少しでも涼しい顔して歩ける道を選びつつ、まだ人気の少ない商店街を抜けて行きました。
女児を必死で追いかける
いくつ目かの信号の手前、足元でカランと乾いた音が鳴ったので目をやると、何か白いものが落ちていました。確認してみれば、チョコレートの模型がぶら下がったキーホルダー。既に相当の期間使用されたと見え、プリントはところどころハゲており、角もすり減っている。
駄菓子型のキーホルダー、平たく言えば、ただのガラクタ。しかもボロボロ、ほとんどゴミ。
チロルか。
そう思った瞬間、私はそのガラクタおもちゃをひっつかみ、目指す図書館とは別の方向に走り出していたのです。なぜなら、ランドセルを背負った女の子の姿が見えたから。
真夏の暑さをものともせず軽快な小走りで進む女児、チロルを手にもつれる足で女児を追いかける中年女。苦労して間合いを詰めているうちに、あれ?こういう時なんて声かけるんだっけか?と一瞬迷う。
小学生女児に対しての声がけが「すみません」では芸がないし、「ねえ、彼女」はナンパっぽい。かと言って「お嬢さん、お待ちなさい」ではくまさんだ。ここは森じゃない。だいたい女児をヘロヘロになって追いかけている時点で怪しさ満載であるからして「中年女が早朝女子小学生に声をかける事案」にならぬような配慮もすべきだ。
とかなんとか考えているうちに程よい距離感となり、女児の前に回り込み「ねえねえ」とかなんとか声をかけたのでした。結局ナンパか。
子供のガラクタ、おまけのおもちゃ。

By: Sarah_Ackerman
遠い昔、私はガラクタを集める女児でした。押入れにしまっていたクッキーの空き箱には、集めたりもらったり拾ったりしたらしいグリコのおまけ的おもちゃが詰まっており、イマドキ(当時)おもちゃは手に入れられないなりに、ガラクタ同然のお宝を使って、さまざまな遊びに興じたものです。
子供なら誰しもこういうガラクタ的おもちゃが好きかといえばそんな単純なものではなく。パーツが歪で説明書通りに組み立てられないようなおまけを大事にしていた我が子供時代と比べれば、今の玩具はクオリティが高いし、何しろ近頃の子は幼少の砌からパソコンだスマホだタブレットだと大人と同じガジェットを当たり前に使いこなしているのだから、こんな子供騙しのおもちゃで遊んでられるかよ、なんてこともあるかもしれない。
けれど、ガラクタ的おもちゃをガラクタと判断するか、必要なアイテムとしてキープするかはいつだって所有している本人が決めるべきこと。
後ろ姿では4年生くらいかも、と推測していた女の子は顔を見てみればもっと幼く、そうか、最近は大きい子が多いもんね、などと感心しながら件のブツを手渡しました。息も絶え絶え、汗だくで。
突然現れた暑苦しいおばさんに目をまん丸にして驚いた後、はにかみながら小さな声でありがとうと言い、ぺこりと頭を下げて走り去る女児。可愛らしく照れた笑顔から察するに、一番の宝物とまではいかないまでも、手元に戻ってきてよかったとホッとする程度には大切にしているチロルだったのかもね、などと勝手な推測をしたりして。
しかしこんな早い時間にもう顔がドロドロになってしまったわ。アイラインが溶けてパンダになっているやもしれん、と鞄からタオルを取り出しながら足元に目をやると、カンカンに照らされたアスファルトで蝉がこちらに腹を見せながら容赦なく焦げていた。
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