シンプルなファッションはつまらない。
最近は既に持っているもの、そしてプレーンな服をいかに自分好みに着こなすかを模索することにハマっています。
シンプルなアイテムをさり気なく、というとなんだかものすごくコンサバティブな印象ですが、元来個性的なアイテムばかりを好んで着てきた私は所謂「定番のスタイル」にはさほど興味はありません。
確かに普通の服を教科書通りに着こなす正しさは存在するけれど、私は「正解」を求めているわけではなく、単にファッションが好きなだけ。
旬のアイテムをより多く所持していること(例えうまく使いこなせずに箪笥の肥やしとなったとしても!)こそがおしゃれである証だ、と信じて疑わなかった頃を経て、少ない服を楽しむというステージにたどり着いた理由は単に年を取ったから、だけでは片付けられません。
そして、今後どうなるかも不明であります。
誰にでも似合う服、の落とし穴
TPOに合わせた着こなしや、季節に応じた素材の基本など、ファッションにおける「正解」はおしゃれ云々ではなく、どちらかといえば社会的なルールやマナーの範疇で必要な知識。
トレンドなんて興味ないし、おしゃれのことばかり考えているほど暇でもない。それでも人目のある場面では最低限スマートな装いをしていたい、なんていう人にとっては一定のファッションテクニックや着こなしのルールを理解するのはとても有用な「スキル」となるでしょう。
参考 洋服が好きな人ほど妙なコーディネイトに陥ってしまう悲劇。
が、それとは別の単なるお楽しみとしてのファッションには正解もルールも存在しない。
だからこそ、難しいわけで。
さらに言えば、
「誰にでも似合う、シンプルな服」
なんて表現されるアイテムほど怖いものはない。年齢でファッションの幅を決めてしまうのはナンセンスだけれど、それでも大人のシンプルファッションは難しいと思うのです。
19歳の女の子が白いシャツにデニムを合わせたならば、似合う似合わないはさほどなく誰もが若々しい爽やかなイメージを作り出せるけれど、40代、50代の女性が同じコーディネイトを選択しても、きっとバラバラな印象になるはず。
なぜなら、ある程度の年齢を重ねた大人がプレーンな洋服を普通に着るだけでは、どうしたってその人の個性のほうが前に出てしまうから。
大人になったらとりあえずは上質なアイテム、シンプルファッションを選ぶべし?そんな簡単なもんじゃないでしょう。
シンプルなファッションなんて、つまらない
さて、ここで93歳のキュートなファッショニスタ、アイリス・アプフェル氏の記事をご紹介。
参考 シンプルはつまらない(cafe globe)
アイリスは自身のコーディネイトやファッション、アクセサリーについて
「多ければ多いほどいい。シンプルはつまらない」
と言います。
いやはや、なんともアンティーク好きのフリーマーケットフリークの彼女らしい哲学ではないですか。お気に入りの洋服やアクセサリーのコレクションはかなりの数になるのでしょうね。
彼女のファッションは一見奇抜に見えて実はバランスよく、何より個性が際立っていて文句なしにお似合いです。同じ装いを違う誰かがそっくり真似しても、当然ながらこんな風にはならない。
アイリスのコーディネイトはこれまでファッションフリークとして生きてきた彼女の歴史と経験が滲み出ているからこそ成立するのであって、フォークロアなシャツに派手なファーを纏って大ぶりのアクセサリーを重ねづけすればOK!なんて単純なものではありません。
きっと、これはシンプルなファッションでも同じこと。
少ない服でもファッションを楽しむならば、それ相応の努力と経験値が必要。シンプルなアイテムをバランスよく、そしておしゃれに、何よりも自分らしく着こなすのって、本気になればなるほど相当に奥が深い世界なのだと思うのです。
服は買えるけれど、センスは買えない。センスを磨く鍵は、自分を知ること。けれど、それって何年もかかるわよ。
こういう話をし始めるといつでもこの結論に行き着いてしまうけれど、やっぱり自分が何を求めているのかを知ることが何よりも大事。
多ければ多いほど、の装いも、少ない服で楽しむファッションも、結局は自分がどうありたいか、に集約されるのです。
とりあえず旬のアイテムを投入しておけば満足、というステージからシンプルアイテムの着こなしに挑む危険な底なし沼に片足を突っ込んでしまった今日この頃。
たかが服、されど服。
服のことばかり考えてはいられないけれど、それでも大切なお楽しみとしてまだまだ装いの奥深さを追求していきたい、と考えるのでした。
“年相応”って、どういう意味なのかしら? 97歳のような30歳だっているし、器量よしでなくともとびきりクールな友人もいる。数字なんてなんの意味もないわ。ルールは簡単。ただ“然るべく”ってこと。(HARPERS BAZZAR)
ところでこの映画、日本にはこないのかしら?
※追記 観てきました!
関連 最高に楽しく生きる、人生の極意。
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