一人旅の正しいお作法。
どうにも派手さのない旅が好きです。
今回は確固たる目的がいくつかあっての旅なのですが、フリーな時間ももちろん確保しているわけで。
さて、何をして過ごそうかと一応考えてはみるのですが、多分いつもと同じスタイルになるだろうと思われます。
思い起こせば、ここに辿り着くまでには自分なりの葛藤があった気がします。
落ち込んだ初めての一人旅
誰かと一緒ではなく、出張でもない、完全なる自分の意思で行った初めての一人旅っていつだっただろうかと考えてみたら、10年程前の年末。その冬の寒さは寒がりの私にはあまりにも厳しく、突然「暖かいところへ逃亡したい!」と思い立ち、年末年始の休暇を利用して沖縄へ行ったのでした。
当時は一人で海外旅行なんて無理!と思い込んでいたので、暖かいところといえば沖縄しか選択肢がなかったのです。
こんな時期に1人で沖縄行ってどうすんの?といろんな人に言われましたが、とにかく寒さから逃れたい一心で決めた旅。全くのノープランで出掛けてしまったので効率のよい観光旅行にならなかったことに当時は少々落ち込みました。
今思えばあれが私の旅のスタイルのはじまりだったのかもしれません。
その後あちこち1人で出掛けることが多くなりましたが、いつまでたっても予定をびっしり詰め込んで観光名所を巡るような旅はできず、地元の人しかいないような場所を散策してみたり、ローカルな市場をふらついてみたりというなんとも地味な旅を繰り返すばかり。リゾートホテルに一人で泊まって泳いで、本読んで、酒飲んで、をただ繰り返すだけの時間を過ごすのも好きです。
これはいついかなる時にも退屈を感じない性質によるものかも。まあ、一種の特技です(前向き)。
実りある旅の定義
そんな過ごし方するんだったら家にいても一緒なんじゃないか、とか、旅はもっとアクティブじゃなきゃ!とか、わざわざそこまで行ってアレを見てこないなんて勿体無い、とか言われる度にああ、私は旅下手なんだ…と自己嫌悪に陥ったものです。
一分一秒を惜しんで観光地や名所を巡り、人気のレストランに出掛け、お土産をどっさりと買い込む。誰かと一緒ならそれも楽しめなくはないけれど、1人では絶対にそんな過ごし方をしない私は基本的にあんまり旅に向いてないのかも、と思っていました。ホントの旅って、もっとこう、濃厚なものなんじゃないの?と。
が、本能の赴くままに一人旅を楽しんでいるうちにいつの間にかそんな考えもなくなっていきました。名所を巡ることだけが旅じゃないし、旅の楽しみ方なんて人それぞれ、と、ようやく自分のスタイルを肯定できるようになったのかもしれません。
勝手に理想を作り上げて勝手に傷付く
よくよく考えてみれば、気ままな一人旅のスタイルに正しいも間違いもないのです。が、ガイドブック通りの旅やはたまた世紀の大冒険などできもしないくせに「旅とはこうあるべき」という固定概念に縛られていたのは他でもない私。
自分で作り上げた理想像に自分が届いていないことを勝手に卑下して落ち込んでみせたりする。
なんと滑稽な行為なんだろうと今では思えるけれど、旅に限らず人間は自分で作り上げた理想や妄想や思い込みに対して勝手に怒ったり落ち込んだり傷付いたりする厄介な生き物のようで。なんて、それに気付いたのはつい最近のこと。
おっと、こんなことを書いているとまた禅問答モードに入りそうなので今日のところはこの辺で。
今回も仕事を持ったままの旅なので、東京にいるのと何ら変わらない過ごし方をする時間も多々あるでしょう。でも、それもまたよし。自分のスタイルをきっちり肯定してちゃっかり楽しみたいと思います。
関連記事
-
台湾一周 鉄道駅弁一人旅 その1. 台北駅 懐舊排骨便當。
台湾を鉄道で一周しながら各地の駅弁を楽しもうじゃないかという旅をしています。 関連 台
-
ひとんちの食の不思議ときのこスープ。
旅行中は普段と生活サイクルが異なり、食事の内容も、時間も、量も変わるので、どうしても体が重く
-
西營盤のバーと夜食と坂道と 香港一人旅で食べたもの その2
香港一人旅の食記録、第二弾です。 関連 海老ワンタン麺の食べ比べ、香港一人旅で食べたも
-
スマホ操作に年齢が表れる。
あら私もそうだわ、と思ったのですが。40~50代で「スマホ左手持ち」が多いワケ 若者は右手
-
正月早々、老親におねだりをする50娘。
伝家の宝刀、寝正月をキメています。暮れに帰省して、簡単に近況報告を済ませ、買い物やら用事や
-
散らかし、掻いて、放置して。かりそめの快楽に身を委ねる。
By: Sandy Schultz[/caption] 手湿疹が酷くなったことで数年ぶり無数
-
シンプルな人はシンプルなものを作る論からの考察。
By: Steve Larkin[/caption] 小林カツ代著「食の思想」に、 「
-
私、やりたいです。その眩しさと、ある仮説。
【前回のあらすじ】 ある日ふと出会って突然恋に落ちるという憧れの体験した人物を目の当た
-
手書きで馬鹿が2割り増し。
悪い意味で驚きの記憶力なので、メモ必須、メモ大事。 改めてそう考える秋であります。
-
独身女性 クレジットカードとどう付き合う?
基本的にいつもニコニコ現金払いが好きです。 ローンを組むのはストレスでしかないと思うので、今買
Comment
はじめまして。何時もロムっておりますカワといいます。
多分、同年代のマシュケナダ好きです。
よく東南アジアを1人旅しますが、観光名所には行かないですね。スケジュール決めずにマッタリするのが好きです。
カワさん
コメントありがとうございます。
おおお、同志ですね、嬉しいです。地味な旅もなかなかどうして楽しいですよね。
私の場合人生そのものがまったりし過ぎなのはどうかと思うのですが、こればっかりはやめられません。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。