携帯電話を持たない平凡な人間の非凡な人生。

公開日: : 最終更新日:2020/05/21 生き方と考え方

「携帯嫌だ、持ちたくないって人ってさ、予期せず誰かにインターホン鳴らされるのも苦手とか言うよね」

小上がりのテーブルに運ばれてきたもつ焼きをかじりながら友人が言いました。

おお、わかってるねえ。というか、私と似た意見の人が他にもいるんだ。

関連 携帯電話を止めたのが一番よかったことかもしれない。

そうそう、そうなのよ、と、おしんこをつつきながら私は頷く。

携帯が嫌なのか電話が苦手なのか単に相手がダメなのか

「でもさあ、例えばラブラブ(死語)の彼氏が予告なく家に来てピンポンしてくれたらそれは嬉しいわけだろ?結局、セールスとかに対応するのが面倒ってだけで、突然の来訪とか携帯云々の問題じゃないんだよ」

友人の意見はこう続きました。

「いや、どっちもだめだろう」

「?」

「仮にだ。合鍵を渡すほどの親密な関係だったとしても、一緒に住んでるわけでもないのに突然ピンポン鳴らして『きちゃった』は怖すぎるでしょう」

「え?」

「え?」

なんかいろいろと噛み合っていないのはお互い相当呑んでいたから、だけではありません。この後友人のいやいやその感覚はおかしいだろう『きちゃった』を女性は喜ぶはずだという逆襲が始まったのですが、結局この会話がどこに着地したかは失念。

楽しい夜でした。

さてこの酔っ払いの雑談に正解などありません。そして彼も私も間違ってはいない。ただ『きちゃった』に対する考え方が異なるというだけのことです。

この場合はただの世間話だし、単なる見解の相違であるとお互い理解して話しているのでこれが原因で

「おまえとは気が合わない、もう絶交だ!」

みたいなことにはなりようがありません。が、ちょっと状況が違えばただ1点の議論において互いを理解できないがために相手を丸ごと拒否してしまうようなもったいないことも起こり得ます。

関連 モノを溜め込む人とは友達になれない。

もったいない。
パクチーが嫌いでもタイ料理は美味しく食べられることに気づかずタイを避けて生きていくくらいのもったいなさであります。

関連 パクチーが食べられない日本人がタイで暮らせるのか?

いや、この話に直接パクチーは関係ないんだけど、パクチーが嫌いだからといってタイそのものを遠ざける必要はないわけで。

平凡な人間の非凡な人生

多くの人がそうであるように、私も自分自身を平凡な人物であると認識しています。あまり真っ当な人生を歩んではこなかったとはいえ、特別な才能もなく、目立った特徴も持たず、背丈も体格もそこそこの標準値。歌も踊りもできなければマニア層に大受けするニッチな趣味もありません。

しかし「平凡」だからといって自分の考え方が世間一般の標準値であると思い込むのは大いなる勘違いで、ましてや正解でなんてあるはずもなく。別に

「私ってちょっと人とは違うから〜」

なんて変わり者アピールする必要はないけれど、普通な自分の考えが世間の標準値ではない、という認識は持っておいたほうがいいだろうとは思うのです。そうじゃないと自分と異なる感覚をぶつけられる毎に

「普通はそうじゃないでしょう?」

なんて自分の中での常識をまるで世界標準であるがごとく相手を非難したり、ああ私のまわりは常識のないおかしな人ばかり、なんて不要なストレスを抱え込むことになってしまいそうだから。

関連 ストレスを力に変える教科書 その思い込みは何のため?

あなたはあなた、私は私。お互い好きなように生きてきましょう。

かなり大人になってからようやくこの考えが腑に落ちて対人関係はそこそこ楽にはなりました。とはいえ年を取ったからといって悟りを開いたわけでも何かを諦めたわけでもないのでまだまだ障害にはぶつかるけれど、つまらないことでいちいち喧嘩したりはしません。

だって、喧嘩嫌いなんだもの。殴るのも殴られるのも痛いし別におもしろくないからね。




関連記事

つまらない人生、つまらない暮らし 犯人は誰だ。

By: Thangaraj Kumaravel[/caption] ものをあまり持たず、買わ

記事を読む

魂の退社 50代で会社を辞めるという決意。

By: Vincepal[/caption] 「とにかく逃げ切り世代のやり方についていけなかった

記事を読む

地元で生きる力強さと終の住処を考える。

By: ume-y[/caption] 先日久しぶりに浅草へ出かけました。 久しぶり、

記事を読む

胃が痛い悩みは放置する。

ここ数ヶ月、頭が痛くなるというか、胃が痛くなるというか、とにかく厄介な問題を抱えておりました

記事を読む

酷いストレスで観葉植物が枯れる。

見た目は子ども頭脳は大人の名探偵は、 「真実はひとつ」 というけれど、そうでもな

記事を読む

なにもない生活、自由な時代、生きづらい人。

仕事が落ち着いて、少し余裕が出てきたことも関係しているのでしょうか。ここのところ改めて「なに

記事を読む

一人は一人でも、求めるものは同じじゃない。

しつこいですけど、外にフラフラ飲みに行けない世界は、本当に切ないものですね。なんの楽しみも

記事を読む

肩書きが欲しい、自分ではない何者かになりたい。

By: Plage Vinilos y Adhesivos[/caption]  

記事を読む

デイトレーダーには記憶がない。

久しぶりに保有銘柄ががっつり下落しました。 こんなに下がったの久しぶり。アプリの画面

記事を読む

おばさんが嫌われる理由。

踊り疲れたディスコの帰りを存分に満喫する夏です。 自分のことがよくわかっていない人。

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

腰痛改善に向けて始めたこと2つ。

今年こそは腰痛改善に取り組むぞ!と宣言して早1ヶ月が経過。や

ご近所感覚の酒場を求めて。韓国ソウル一人旅で食べたもの・その2

韓国・ソウル食記録の続きです。1人で飲むなら、定食で。韓国・

やりたいことリスト’24「ちゃかし倒してゲームする」

毎年恒例の儀式・その2「やりたいことリスト」のお時間がやって

2023年、買ってよかったものベスト3。

1年間の買い物を振り返る恒例行事、今年もいってみましょう。

あの世にものは、持っていけないから。

銀座で酒を飲みながら、友人の現役引退後、つまり、定年退職後の

→もっと見る

PAGE TOP ↑