タイニーハウスはいらないけれど。スマートサイジング 価値あるものを探す人生
「タイニーハウス」を知っていますか?
タイニーハウスとは、その名の通り「小さな家」のこと。
参考 モノを所有せずシンプルに暮らす、アメリカ発の「タイニーハウス・ムーヴメント」(WIRED)
大きな広い家にモノをたくさんつめこんで暮らすスタイルを手放し、20㎡程の小さな家をセルフビルドし小さく住まう。
これは北米を中心に広がりつつあるムーブメントで、日本でも最近その動きが活発になりつつあるようです。
もうお金のために生きるのはやめました
タイニーハウスムーブメントの火付け役の一人と言われるディー・ウィリアムス。
彼女の短いスピーチをきっかけに暮らしを、人生をシンプルに変えたいという強い思いに取り付かれた女性が書いた本が「スマートサイジング 価値あるものを探す人生」です。
もう、お金のために生きるのはやめました
消費大国アメリカの意識が変わり始めた。
モノに囲まれた大きな生活を実現する為に借金で買い物を繰り返し、その返済のために働く人生にふと疑問を感じた著者。
夫婦で生活をダウンサイジングし、わずか6畳の小さな家に行き着きます。
しあわせ感を取り戻そうとする夫婦の二人三脚の実践記録と、暮らしに根差した幸福論は、リーマンショック後の消費大国アメリカにあって共感の輪を拡げ続けているシンプルライフの爽やかな指南書です。
本書の著者、タミー・ストローベルは、自らの意思でシンプルな生活を選択したことで、これまでよりも満足のいく人生を手に入れた人物の一人といえるでしょう。
成功していても、満たされない日々
タミー・ストローベルは、金融関係の仕事に就いていて、2ベッドルームのアパートメントに理想のパートナーと暮らし、そのパートナーと結婚する時にはダイヤの指輪を2つもプレゼント「させる」ことに成功。車も2台所有して何不自由ない生活をしていたのに、どこか満たされない気持ちがあったと言います。
この時点でモノの数や家の大きさが即幸せとは結びつかないことが明らかになっていますが、アメリカ人のモノへの執着というか、買い物の大胆さって日本人の比じゃないですよね。いや、完全にイメージですが。本書でもこう記されています。
毎年、クリスマス商戦がいっせいにスタートするブラックフライデー当日、アメリカでは数百万人がわざわざ早起きして開店前の大型店舗に列をなし、ときには徹夜組まで出たりする。すべては、誰よりもいいものを手に入れるため。
開店を待ち切れない客らがガラス戸を破って店内に押し寄せたことで店員が巻き込まれて圧死するなど、ブラックフライデーに纏わる事故は毎年のようにおきているのだとか。やはりアメリカ人のモノ、というか買い物への情熱、恐るべし。一般家庭の荷物の量もものすごいことになってそうだし、アメリカ人のスマートサイジングって日本人のそれと比べて何十倍も労力のいる作業のような気がします。
が、タミーがそれでも生活を変えようと決心したのは、大量消費の生活では幸せになれないと感じたことと、ディー・ウィリアムスが実践するタイニーハウスでの生活があまりにも魅力的に感じたためでしょう。
モノはあれども借金まみれ
本書では多くのページを「借金」に関する記述にあてています。
タミーと夫のローガンは生活に必要なものを全て所有していたけれど、一般的なアメリカ人がそうであるように多くの負債も抱えていたとのこと。借金があっても欲しいものがあるとカードで買えてしまうから、借金は膨らむばかりで一定の収入があっても生活は一向に楽にならずストレスがたまる一方。
まあ、そりゃ、そうですよね。
私は借金は一切しない主義なので、どうやって生活を改善して借金を返済するか?という内容は全く参考にはならなかったのだけど、アメリカのタイニーハウスムーブメントってもしかしてシンプルライフや自然と暮らす云々ではなく、金銭問題と健康問題が大きく影響しているのでは?と感じました。
現にタミー夫妻も生活をスマートにすることで借金を完済し、車を手放して自転車通勤に切り替えたことでダイエットに成功しています。
変化を恐れず追及した先に見えたもの
タミーは自らの生活を「スマートサイズ」し、タイニーハウスに移り住む過程をブログ「Rowdy Kittens」で発信し続けていました。
それが大手メディアの記者の目に止まり、タミーのインタビュー記事が「新しい暮らし方」として大きく報じられたことで、彼女の人生は大きく変わることになります。
が、これは単なるラッキーではなく、それまでの安定した収入や肩書きを手放す恐怖心と戦いながらも模索し続け、理想の働き方を実現すべく行動を続けてきたからこそ得たチャンス。
彼女が変わる原動力がスマートサイジングにあるのだとしたら、多くのモノを手放したことも、小さな小屋に移り住んだことも、彼女にとっては正しい判断だったのでしょう。
ちなみに私は今のところタイニーハウスには全く興味がありません。
タイニーハウスって結局「持ち物」だから、まだ終の棲家に落ち着くには早いかな、と思っているあちこち移動したい私には大きすぎるモノだし、そもそも車の運転ができないので持ち運べない。借りて住むならいいけれど、わざわざ自分で建てて所有するにはいささか面倒だな、と感じるのが正直なところです。風来坊ですから。
が、そんな私でもこの本はさまざまなスタイルの「アメリカ的」スマートサイジングに関して知ることができたので、純粋に読み物として楽しめました。
いやあ、やっぱり違うわ、アメリカン。
要らないモノを無計画に買いすぎるおかげでカードの返済に毎月苦しんでいる、モノに振り回されないシンプルな生活がしたい、おまけに贅肉からも開放されたい、そんな悩みを抱えている方におススメの1冊です。
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